銀座の帰り道

 

2日前の6月15日に
出版社社長の主催する
定例の飲み会に出向きました。

 

場所は新橋に近い銀座8丁目、
長く続くスナック的なお店です。

 

飲み会も終わり、
和光のある銀座の交差点まで歩きます。

 

なぜ?
少し歩いてみたかったから。

「変わったなぁ……」

いつもは、
そこから新宿のゴールデン街に繰り出していたので、
銀座の街を散策するのは久しぶりのことでした。

 
 

和光の対面にあるビルの外装は様変わり、
百貨店の松屋にもシートがかかり、
銀座の街が脱皮をしているようです。

 

(まぁ、あれから18年だからな)

 

私が12年半勤めていた
大倉商事株式会社が自己破産したのは、
1998年(平成10年)ですから、

街並みが変貌するのも、
いたしかたないのかもしれません。

 

ずっと通い続けた銀座線の改札を抜け
ホームに降り立つと、会社帰りなのか、
ほろ酔いのお父さんがたがちらほら。

 

見知った顔がいないか、
無意識に探していました。

 

(いるわけないか、もう18年だからな)

 
 

電車がやってきて、
日本橋で乗り換え、
人波に紛れ東西線に乗り換えます。

 

売店はすでに閉店しているので、
読むものを目の端で探します。

 

と、申しますのも
頑固にガラケー派を貫く私は
スマホでニュースを見る習慣がなく、

産経や日経、そしてフジを
電車の移動の最中に読んでいるのです。

 

(おっ、住宅情報か)

 

リクルートの出している
ゼロ円のマンション情報誌が
通路に置かれていたのを見つけ、
何気なく手に取りました。

 

思えば、
このリクルートの住宅情報こそ、
私を競売不動産に誘う、きっかけでした。

 

当時、
後ろの方に中古不動産情報と
競売不動産情報が掲載されていました。

 
 

同じ駅、同じ距離、
同じ専有面積の物件を比較し、

競売を落札してリフォームをかけて
一般市場で売却する

ビジネススキルは
成立すると考えたのです。

 

「元気にやってるか?」

 

昔の仲間に声をかけるように、
ペラペラとページをめくります。

 

薄いけれど、
しっかりとした紙に上等な印刷技術で、
どのページも見栄えがしています。

 
 

ただ、何か違和感がある。

 

街並みが激変したときとは違う、
何か根底が違っている。
 

(いったい、何だろう……、何が……)

 
東西線の電車に乗り、
日本橋から茅場町、
門前仲町に木場の駅を通過。

 

ホームを過ぎて、
トンネルに再び潜る瞬間、

ひらめきました。

 

(そうか、客層を変えたのか。それでか……)

 

そう、愛読していた頃の住宅情報誌、
彼らがターゲットとしていた客層は、
一般サラリーマンでした。

 

年収500万円から600万円前後。

 

どうやってマンションを購入できるのか、
親から援助をどのように受けられるのか、
自己資金の貯め方などなど……。

 

手を変え品を変え、
もう少しで手の届く

彼らの背中を押そうとする
必死さが見て取れました。

 

ところが、今の住宅情報誌の客層は、

「ダブルインカム、1000万円オーバーの世帯」

これ以下の客層には見向きもしていません。

 
 

記事も彼らに向けた内容ばかり。

 

400万円前後のサラリーマンには、

「へっ、何言ってやがんだ」

と丸めて捨てられることを
承知で作っています。

 

それで、違和感というか、
何か嫌な感じがしたのです。

 

確かに、
物件価格は半端なく上昇しています。

 

確か、マンションの平均販売価格は
5600万円だとか何とか。
 

ここ数年で異常な高止まりです。
 
 

中古不動産の価格も同様。

競売不動産の落札価格も上昇しています。

中古家屋のゼロ査定、
特に首都圏では「神話」になりつつあります。

 
 

さて、これからどうなるのか。

私は今後も、
皆さんの疑問にお応えし続けるつもりです。

 

藤 山 勇 司

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