「あなたの、
いいとこ、
言ってみて」
こう言われると、困ってしまうのが正直なところ。
ただ、
こんなシチュエーションは
人生の分岐点でいや応なしにやってきます。
幼稚園や小学校の”お受験”
中学入試
高校入試(推薦では特に必須)
大学入試(推薦では特に必須)
それからそれから、
学級委員や生徒会に
各種クラブの部長選挙などなど……。
そして、入社試験!
自己アピールをそれまでにしなかった方々には、超難題となります。
なにせ、
自分の悪いところを親や先生に言われ続け、
仕方なく、宿題や参考書に取り組み、クラブで反復練習をする。
そんなリアクションを
取り続けてきたのですから、
そんなことを
急に言われても困ってしまうのが本音です。
皆さんが所有されている
”貸家”はどうでしょう?
なんとなく、
不動産業者に指摘された個所を、
リフォームして、
相場と聞かされた家賃で
貸しに出されてはいないでしょうか?
本当は、
貸家にとって”入社試験”と同様の
<自己アピール>
タイムであるにも関わらず、
なんとく、
流されるように、
言われるがままに、
入居募集の様々な決断を
下してはいないでしょうか?
もし、そうであるのなら……。
””MOTTAINAI””
貸家の真正価値を
生かし切っていない。
生かし切る努力をされていない。
結果、家賃は下がり、
入居者は早々に退去し、
返済に汲々とし、
奥様やお子様から蔑まれ、
本業に身が入らなくなり、
左遷され、
大切なご家族と離れ離れに、
なりかねません。
「おいおい、
酷い言い方だね。
ずいぶんと、脅かすね」
伊達や酔狂で
お話ししているのではありません。
貸家業は列記とした、ビジネスです。
ビジネスであるからには、
品質・価格・そして時期の
3つを疎かにしてはならないのです。
所有されている
貸家の本質を見極めることなく、
不動産業者の言われるがままに、
なんとなく、
流されるように、言われるがままに、
様々な判断を下しているとしたら、
貸家は、
その実力を発揮できるはずはありません。
皆さんは、
どのようにして、
貸家を所有されたのでしょう?
新築でなければ、中古です。
旧所有者は、
所有し続ける気力をなくし、
手放されたのではないですか?
なんとなく、
流されるよう、言われるがままに、
決断するとしたら、
旧所有者と、どこが違うのでしょう?
そう、同じ。
だとしたら、
早晩、手放すことになったとしても、
なんの不思議もありません。
「なるほど、言ってることは分かるよ。
でもさ、どうすりゃいいのよ。
こちとら、プロじゃないんだよ。
素人だよ。
不動産業者に意見を求めるのは、当たり前でしょうよ」
原点に戻ることです。
この場合の原点とは、
対象となる”貸家”そのものです。
貸家のいいところを上げてみてください。
「いいとこ? って、何よ。
こちとら、謙虚なのよ。
いいとこ上げろって、
言われて、はいそうですかって、
10も、
20も
上げられるわけないでしょうよ」
10も20もいりません。
多くて5つ
3つもあれば、十分です。
一口で言える時間に凝縮すべきです。
「いったい何の話をしてんの?
一口で言えるって、
おれの貸家を
一口で説明できるわけないでしょうよ」
入居希望者の皆さんは、
はっきり言って、
皆さんの貸家に、
左程関心はありません。
有象無象、
沢山ある候補の一つとしか、見ていません。
正直な話し、
5秒程度しか、
アピールタイムは用意されていないのです。
「だめだ、
そんな時間じゃ、何もできないわ。
家賃下げるしかないでしょうよ。
それがダメなら、
フリーレントを付けるかどうか。
紹介してくれた担当者に
ボーナスを約束するか……。
他に何があるの?」
5秒で言い切れる内容、
それは、
””キャッチコピー””です。
皆さんの貸家を
一言でアピールする言葉こそ、
キャッチコピー!
それを考え、
キャッチコピーに合うように、
リフォーム計画を練ってゆく。
キャッチコピーに
ネガティブなコメントを
付ける人なんていません。
ポジティブな点に着目するはず。
皆さんの思考を
コントロールしてゆくのです。
「なるほどね。
でもさ、
具体例をあげてくれないと、
わからないな」
例えば、陽当たりが悪いけど、
駅に近いワンルームがあるとします。
「気味悪いね。
それって、
おいらの持ってる物件そのものじゃない。
入っても、すぐに出て行ってさ、
リフォーム貧乏なのよ。
ああ、もう売ろうかなぁ……」
キャッチコピーを上げるとしたら、
”陽当たりの悪いワンルーム”
こんなキャッチコピーを
上げる人なんていません。
「そりゃそうでしょうよ。
”駅近”でしょ。
それは今までも言ってきたのよ」
貸家は入居者1人で終わり。
繁盛するラーメン店のように、
並ぶ必要はありません。
だからこそ、
想定される最高の入居者
(家賃を満額払い長期間入居)
を予想するのです。
”駅近の陽当たりの悪いワンルーム”
予想される入居者は
○”独身”
○左程お金に余裕はない。
○家には寝に帰るだけ。
○自炊は基本的にしない。
○住み替えに躊躇しない。
と、予測します。
そして、彼らの基本的な
暮らしの”急所”を探す。
上記の中でポイントとなるのは、
””寝に帰るだけ””
ここが急所となります。
「急所って、当たり前のことでしょうよ」
”寝る”
人の三大欲求は、
食欲・性欲・睡眠欲・です。
この三大欲求の一つ、
睡眠欲に力点があるのですから、
このポイントを伸ばさないのは
努力をしていないことと、同じです。
例えば、
安心して眠れるには、
1、洗濯に困らない
2、昼間でも真っ暗にできる
3、花粉症に悩まされない
こうした3つの特徴を打ち出せば、
寝に帰るだけの入居希望者にとって、
是非とも住みたい、
住み続けたい貸家となるのです。
「な、なるほど。
で、3つをどうすりゃいいのさ」
ようやく、
聞く耳を持ってくださったようですね(笑)。
いいでしょ、
ここで、この先は有料です。
って、なったら嫌ですよね。
今回は、最後までお話ししましょうか。
それとも、ここで終わりとしますか?
「いじわるしないで、頼むよ」
わかりました。
具体的な解決策は、
1、洗濯に煩わせない
---→ 洗濯自動乾燥機の導入
2、昼間でも真っ暗にできる
---→ 遮光カーテンの据え付け
3、花粉症に悩まされない
---→ 高機能エアコンと
ダイソンの空気清浄機の導入
間取りを変更するわけでも、
リフォームに大金をかけるわけでも、
家賃を値下げしたり、
フリーレントや
担当者ボーナスを約束するわけでもありません。
今回の、
駅近・陽当たり不良・ワンルームの
キャッチコピーは、
””24時間快適な睡眠をお約束””
もちろん、
貸家はワンルームばかりではありません。
ただ、
それぞれの貸家には、
それぞれの長所がある。
その長所を
当然のことのように捉えず、
認識し、伸ばし、
そしてキャッチコピーにまで高めてゆく。
その努力こそ、
兼業大家さんの大きな役割なのです。
太陽が燦々と降り注ぐ、7月となりました。
皆さまのご多幸を心から、
お祈り申し上げております。
藤 山 勇 司