※このブログの文章は、6月29日に作成されました。
令和2年6月30日(2020年6月30日)……
この日は、歴史的悲劇の1日として記録されることになるでしょう。
「なんで? 今日は6月29日でしょ。あと1日しかないじゃない。
何が変わるって言うの? 大地震でもくるの?」
6月30日の午前中、
中国の全人代で、
国家安全法制が可決されるからです。
「国家あんぜん? 中国の話でしょ。日本は関係ないじゃん。海の向こうのことでしょ」
中国政府は、
西側諸国から、『国家安全法制』への懸念に対し、
””内政干渉は厳に慎まなければならない
中国との関係悪化の責任は全て、
発言国にある””
と、猛々しく反発しています。
「そりゃ、
日本だって、アメリカだって、自国内の法律作成に
他国から干渉があったら、反発するんだから、
中国政府の言い分は、もっともだと思うけど」
確かに、そうした見方もあるでしょう。
しかしながら、
中国の全人代で審議され、
明日可決予定の
国家安全法制は、
人口750万人の香港を念頭に置いて、
法制化されるものです。
ご存じのように、
香港は1997年にイギリスから中国に返還されました。
そして、
同時に、
2047年までの50年間は、
高度な自治を保証すると
中国政府は、イギリスや国際社会に
約束していたのです。
それを受け、
香港は、憲法に相当する香港基本法が制定され、
この香港基本法に適合する6法(民法、刑法、商法など)が施行されています。
法律に違反すれば、罰せられるが、そうでなければ、
不当な罰則や拘束はされないという自由が保障されていたのです。
民主主義や資本主義の基本は、罪刑法定主義です。
時の為政者の気分次第で、
突然、逮捕され、投獄される環境では、
投資も商業活動も言論活動も出来るはずがありません。
「じゃ、香港は中国の監視下に置かれるってこと?
そりゃ、ないでしょう。
香港は金融都市じゃない。
中国の監視下に置かれるってことは、
資本の自由もなくなることじゃないの?
実際、
中国国内で儲けてもさ、
海外に送金出来ないでしょ」
よくご存じですね。
香港は、
西側諸国と中国の架け橋の役割を
果たしていました。
中国に投資されるお金の80%強は、
香港経由です。
なぜなら、中国に直接投資すると、
利益還元が非常に難しく、
中国共産党の機嫌を損ねると、
なんだかんだとイチャモンを付けられ、
違約金や損害賠償を吹っ掛けられ、
場合によっては、
逮捕拘束されることもあるからです。
事実、
今現在も
伊藤忠の社員など、日本のサラリーマンも
はっきりとした理由のないまま
逮捕拘束されています。
自由を保障されない環境下では、
臆病者の
マネーは
腰が落ち着きません。
いつ何時、時の為政者の気分次第で
ボッシューとされる可能性が
あるなら、安全な国に移動したい……。
ファンドマネージャーだけでなく、
一般人もそう考えることでしょう。
「ちょ、ちょっと待って。
テレビや新聞見ても、
そんなことやってないよ。
もし、本当なら、
ワイドショーでやってるでしょ」
報道しない自由をフル活用している。
そう思うのは、
私だけでしょうか……。
アメリカも香港の特別待遇の廃止や
香港の自由を棄損する
人物のビザの取り消しなどに言及していますが、
当の中国共産党は、
『できるはずがない』
『お前らも香港で稼いでいるだろ』
『結局、人は誰もお金が欲しいんだ』
『多少は儲けさせてやるから目を潰れ』
『時間がたてば、妥協してくる』
と、思っているのか、
反応は驚くほど薄い。
9分9厘、
明日の6月30日の午前中には、
全人代は、
国家安全法制を可決してしまうでしょう。
「なんで、急ぐの?」
香港では9月7日に
議員定数70人の
香港特別行政区立法会選挙が予定されています。
そして、
7月中旬から7月31日まで
立候補者の受付が始まります。
全人代は、
民主派や独立派の候補者の擁立を
根本から引き抜きたい。
このまま放置すると、
立法会の過半が独立派や民主派になりかねない。
彼らからすると、
最悪の事態です。
香港が民主化すると、
チベットやウィグルにも飛び火し、
広東や広州にも広がりかねない。
特に、
気功集団であり、宗教でもある法輪功は
潰しても潰しても、
ゴキブリのように沸いて出てくる。
民主化の小火は小火の内に
消す必要がある。
恐らく、
中国共産党の本音はこんなところ……。
更に申せば、
香港利権は、習近平氏ではなく、
江沢民派の利権です。
任期を撤廃し、
独裁者の道をひた走る習近平氏
にとって、
政敵の弱体化は願ったり叶ったり。
5年、10年、15年、
もしくは20年、
国際社会から制裁を受けようとも、
いずれ、日本のようなお人よしが
救いの手を差し伸べる。
企業は営利企業だから、
14億の消費者を無視することはできない。
それを念頭に置けば、
中国共産党の未来は盤石!!
どうやら、
そう踏んでいる。
昨年、
人口750万の香港で200万人以上の
デモが起こりました。
日本にいると、
空気のような存在の自由!
その自由を制限される。
為政者の顔色を伺わないと、
生活もできなくなるのは嫌だと、
逮捕や、ケガ、最悪死も覚悟したデモでした。
それが、
国家安全法制の施行により打ち砕かれます。
6月25日には、30台の特殊車両が
中国から香港に入り、
顧問団が香港行政区の一角に陣取っています。
すでに、
首根っこを押さえられた状態であり、
民主化運動の活動家だけでなく、
投資家や一般市民も
香港からの脱出を画策しています。
一度は訪れて見たかった香港、
百万ドルの夜景をこの目で見たかった。
例え、
この先、
香港の夜景を目にしたとしても、
それは偽りの夜景……。
1ドルの価値もない。
そう思うと、やり切れません。
~ 合 掌 ~
藤 山 勇 司
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