数値こそ命綱

 

平成25年現在、
東京都内の4階以上のビル総数は
16万818棟です。

スカイツリーから見渡すと、
無数のビルがあるように見えても、
物の数には限りがあるのです。

 

投資は数値です。

何かを判断する際、
必ず数値を根拠にしなければ、
待っているのはサバンナのインパラ宜しく、
肉食獣の餌食になるだけ。

 

よくよく言い聞かせなければ、
感情が理性を押さえ込み、
あとになってみれば、

「なぜ、あんなことをしたんだろう……」
と臍を噛むことになります。

私が競売不動産に入札したのは、
平成5年の2月頃。

3ヶ月後の平成5年の5月に初めて落札し、
現在の所有戸数は106戸です。

一方、競売不動産の落札価格と
中古不動産の差額に注目し、
社内の新規事業として稟議起案したのは、
平成3年の9月。

 

実績がないから許可しないとの
管理部門の結論に、

「だったら、自分で実績を作ります」と
タンカを切り、
自己資金を増やし始めました。

日本のバブル崩壊は1991年ですから、
バブル崩壊と同時に不動産投資に
着手したことになります。

 

全て競売不動産で入手したかというと、
そうではありません。

 

最初の3物件は競売で取得いたしましたが、
その直後に新築アパートを立て続けに
3棟建設!

借り入れは瞬く間に
1億円を突破いたしました。

ただ……、なんとなく不安が過ぎり、
中古アパートの価格推移を調査したのです。

「な、なんだこれは?」

築5年を経過し、10年を過ぎると
売却価格は釣瓶落としのように
下落している光景を目にし、
まるで崖の淵から覗き込んでいるような
恐怖感を覚えてしまいました。

 

「これはいかん。このままじゃ、
 いつ何があるのかわからん」

 

借り入れは膨大であり、
手持ちの物件を売却しても返しきれない。

債務超過の爆弾を背負っている。
返済していれば導火線の炎は
短くならないけれど、
返済に窮した途端……、

  「「  B0gaaaann!!  」」

一巻の終わりとなってしまいます。

 

当時は、キャッシュフローを
生み出してくれていましたので、
毎月の余剰金に加え給与と
ボーナスをセッセと貯めて、
北海道の競売マンションや戸建てを
次々に入手。

債務超過状態の解消に尽力いたしました。

 

やれ一安心と思っていたら、
なんと、親方日の丸と、
どこか絶大の信頼を託していた
東証一部上場の大倉商事株式会社が
突然の自己破産をしてしまったのです。

まったく、気の休まる暇もないとは
このことです。

 

それから3年の間、大倉商事グループの
電話加入権の売却と債権回収に汗水流し、
自己資金を貯めて購入したのは、
こりもせずに苫小牧の中古アパートに
強烈な指値を入れて現金買い。

その余力を借りて、
全国一地価の下がった木更津にフォーカスし、
競売と任意売却で物件数を
飛躍的に増加させました。

 

そして平成28年現在、
家賃収入は5000万円を超えていながら、
借り入れは1億円そこそこ。

 

平成8年当時の借入金額よりも
少なくなっています。

 

なぜ、それが可能となったのか。

一言で申せば、

 

「感情ではなく、
数値で物事を判断したから」 です。

 

物件購入手段は、
競売不動産だけではありません。

場合によっては、一般流通物件や
任意売却物件の方が
有利な場合もあるのです。

 

ただし、共通の土俵である、
物件の判断基準とキャッシュフローや
担保余力などの財務戦略は、
必ず数値を基に判断しなければなりません。

 

数値こそ、判断基準です。

この点、ゆめゆめお忘れなきように。

藤 山 勇 司

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