生きとし生ける者には、
好むと好まざるに係わらず、
3つの欲が付きまといます。
そう……。
食欲、性欲、睡眠欲の3大欲求です。
毎年、ありとあらゆる新規商品が
開発されていますが、
この3大欲求に複数訴求する商品こそ、
ヒット商品になるようです。
例えば、
コカ・コーラのガラスボトルの形状は、
女性のクビレをイメージし、
主要成分の”コカ”は健康に良いとされ、
当初は薬局で売られていました。
もちろん、すっきりさわやかな味とともに、
喉の渇きを解消するのは
言うまでもありません。
つまり、3大欲求のうち、
食欲と性欲の2つに訴求する特徴こそ、
世界を席巻したコカ・コーラヒットの
源だとされています。
それでは、貸家に求められる資質とは
何でしょうか?
〇食欲 →キッチン・リビング
〇性欲 →お風呂、そして異性に好まれる
立地や間取りや環境
〇睡眠欲→寝室の快適性と静粛性
そう、
コカ・コーラに備わった食欲と性欲の
2つどころか、3つの欲求すべてに
応える商品こそ、貸家です。
だからこそ、
・なんとなく直し、
・なんとなく募集し、
・なんとなく管理をしても、
多くの大家さんは、
家賃を受け取れているのです。
もったいなくないでしょうか?
「え、何がモッタイないの?
いいでしょうよ。簡単なんだから…。
難しく考える必要はないよ」
なるほど、それも選択肢の一つ。
特に、相続案件など、返済がないのであれば、
必要な経費は維持管理費だけですから、
問題は起こりません。
しかしながら、貸家の立場に立つと、
どうでしょう?
〇もっと輝ける。
〇空室なんか起きない。
〇磨いてくれれば、所有者である皆さんに
恩返しができる。
そう思い、出番を待っているのに、
何もしてくれない。
きっと、時間が過ぎるままに
劣化してゆくんだ。
そして、古くなったら誰かに売られるか、
壊されてしまうんだ……。
そう思っていたとしたら、
悲しくないですか?
あきらめれば、それで終わりです。
貸家はやる気をなくし、
ありとあらゆる場所が壊れ始め、
クレームが続出し、
退去が続き、
嫌になって放り出したくなってしまいます。
「嘘だぁ~、からかってんでしょ」
いいえ、嘘のような本当の話です。
私も大家歴23年目、
今年の5月で24年目に突入しますから、
様々な経験をしてきました。
しかも、
多くの方々の相談に乗り、
解決策を提示し、
その後の経過を見てきていますから、
経験したケースは膨大です。
例えば、
ある相談者からのお悩みは
アパートの売却相談でした。
売値と仲介会社、
そして必要最低限の手直しについてです。
「なるほど……。
それで、残債はいくらですか?」
「ありません。相続ですから」
「では、何か必要なお金があるわけですね」
「いいえ……」
借金があるわけでも、
差し迫った資金需要があるわけでもない。
にも係わらず、手放してしまいたい。
(( いったいなぜ? ))
相談者の顔色を見ると、
物件のことを尋ねれば尋ねるほど、
嫌悪感がありありと浮かび上がります。
気が付くと、ふっとこんな言葉を
口にしていました。
「すねているんですよ」
「すねてる? 誰が……、私ですか?」
「いいえ、奥さんがすねるわけはない」
「え、だったら夫?」
「アパートです。よくあるでしょ。
親から構ってもらえない子供が拗ねて、
熱を出したり悪戯したりすること」
「先生! アパートですよ」
そこから、それまでに経験したことを口にし、
理解していただくよう、努力いたしました。
「上手くいったんですか?」
そんな魔法はありません。
永い間、気の遠くなるような時間をかけて、
アパートとの関係は悪化していったのです。
私と会ったからと言って、
一気に得心のいくはずは、ありません。
ただ、
彼女の気持ちに突き刺さったのは、
「アパートを好きになってもらえませんか。
見てあげるだけでもいい。
見捨てるんじゃなくて、気遣う気持ち、
と言えば、お分かりいただけるでしょうか。
それでも、嫌な気持ちが変わらないなら、
次の、しかるべき所有者を
探してあげると言う心構えで、
売却先を見つけてあげればいい。
それで、どうでしょう?」
私の言葉はきっかけに過ぎません。
彼女は、彼女なりに、悩んだからこそ、
時間とお金をかけ、方々に相談をしながら、
私の元に辿り着いたのです。
ですから、”解決したい”
と、言うお気持ちは
彼女から生み出されたものです。
その後、クレームと向き合い、
改修をし、仲介業者と面談を重ね、
半分以下だった入居率を90%近くまで上げ、
最後は、周辺相場以上の価格で、
売却されました。
持ち続けることはできなかったようですが、
貸家の立場に立てば、
上々の結果だったと思えます。
誰もが、大家さんに向いている
わけではありません。
毎月家賃を支払ってくれるとは言え、
店子さんは他人です。
赤の他人ではありませんが、
身内かどうかと言えば、他人に分類されます。
そんな第三者から、ある日突然、
「どうなってんだぁ~、早く直せ!」
と、クレームを受け。
仲介会社や管理会社からは、
べらぼうな工事費を請求され、
毎月当てにしていた、家賃は退去と同時に
パッタリ入らなくなり、
入居のためには、想像以上の
リフォーム費用を支払わなくてはならない。
きっちりした性格、
白と黒をハッキリしたい性格、
ハンコでおしたような日常に
安心感を覚える方々、
残念ながら、多少、
大家さんには不向きかもしれません。
それは、それでいい。
所有し続けられる大家さんに、
可愛がられる方が
”貸家”にとっては幸せです。
だからこそ、
いつも口にするように、
戸建から初めて頂きたい。
自分が大家さんに向いているのかどうか、
早いうちに、
後戻りのし難い、大きな借金をする前に、
確認して頂きたい。
性格は、直そうと思っても、
これがなかなかどうして、難行です。
40歳であれば40年、
50歳であれば50年かけて
熟成してできた性格です。
性根から直そうとしたら、
ご自分の年齢の半分位の年数をかけなければ、
無理な相談です。
そんな無意味なことは諦めたほうがいい。
☆☆得手に帆を張れ!☆☆
私が好きな言葉です。
世の中には様々な人がいらっしゃいます。
だからこそ、世の中はなんとか
回っているのです。
私も皆さんも、
そうした様々な人々の中の一人!
それでいいじゃありませんか。
そして、
俺も兼業大家さんできるかなぁ~、
なってみたいなぁ~
と、半年以上想いつづけているのなら、
それは、大家さんに向いている
確かな証拠です。
なぜなら、
ずっと、あなたを見続けていた、
親よりも、親友よりも、
あなたと一緒にいた、
あなたの心の奥底にデンと居座っている、
潜在意識が、拒否していないからです。
できないこと、
いやなこと、
無理だと思える夢や願望は、
どんなに、素晴らしい目標であったとしても、
思い続けることは不可能です。
”いやいや、そりゃあんたには無理だよ。
できっこないから、もう考えるな”
ずっとあなたの傍にいて、
見続けていた潜在意識は
無常に判断を下します。
潜在意識から、拒否られず、
ちゃちも入れられないなら、
一歩踏み出してみる。
実際に大家業を経験して、
本当に大丈夫かどうか、
確認してみる慎重さが必要です。
だからこそ、
まずは、自己資金で戸建の大家さんから
始めていただきたい。
〇物件探し
〇値段交渉
〇リフォーム
〇入居募集
〇管理業務
一つとして、苦労なく、
できることなんて、ありません。
とんとん拍子に行くなら、ビジネスではない。
皆さんの本業だって、
取引先や上司からの要望を解決されているから、
ビジネスとして成り立ち、
お給料を頂けているのです。
そして、そうした数々の困難を
乗り越えるからこそ、
家賃という果実を
毎月受け取れることができる!
それが成果です。
☆☆兼業大家さんに”幸あれ”!☆☆
凍てつく冬を乗り越えた
桃の花を朝の散歩で目にし、
その願望を、一層強くいたしました。
以上、略儀ながら感謝とともに。
藤 山 勇 司