雨漏りからのぉ……建て替え

 
そろそろ、梅雨が間近に迫ってきました。

私が子供の頃、雨漏りは珍しくありませんでした。

 

ゴロゴロと雷の音を耳にすると、洗面器を準備。

大抵、漏れる場所は決まっていまして、
最初は縁側近く、
雨足が強まると、床の間の前、
この位で収まってくれれば夕飯を中断しないのですが
横殴りの雨になると居間のドアの前でも漏れ始め、
強風が追加されると
あっちゃこっちゃで

♪ピッチャん、ポチャン、ポトン、ビシャン♪

協奏曲騒ぎです。

 

幼いころの記憶は、その後の判断能力の礎となります。

私からすると、
(雨がふりゃ、雨漏りもするでしょう…)

まるで、
『千と千尋の神隠し』の中で、
”りん”のセリフ

「雨が降りゃ海くらいできるよ!」

と、
同じくらいに違和感がないのです。

 

ただ、
広島県呉市から愛媛の松山に渡り就職で上京すると、
周囲の人々の雨漏りへの拒否感は、相当強いものだと理解しました。

単に、私の実家がボロかっただけ。
両親の落ち着いた態度に接していた私は、
雨漏りを根絶することよりも、対処方法に関心を持っていたのです。

だからでしょうか、
『実家が雨漏りで、家を建て替えることになりました』

こんな話を聞くと、

~???(頭の中はちんぷんかんぷん)~

思わず、尋ねてしまいます。

「えっ、なんで?雨漏りの他に悪いとこあったの?」

「いやぁ~、私もよくわからないんですけど、
 付き合いの古い工務店に
(ここ直しても、すぐにまた漏れますよ。もう、寿命かもしれませんね)
 って、言われたらしいです。
 それで、せっかくなら建て替えして、外断熱と床暖房もつけることにしたそうです」

この件、
どう思われますか?

私の独善から申し上げれば、
工務店の口車に上手くやられちゃったなぁ~、ざんねん!
でしょうか。

 

子供の頃の私は、雨漏りが始まると
借り物競争よろしく、洗面器を取りに走っていました。

ただ、あれから45年を経過した今では
雨漏りの根絶に力を注ぎます。

問題を解決する最初の一歩はもちろん、原因調査です。

恐らく、本件の工務店の担当者、もしくは社長……。
その場でお客を説き伏せるのですから、おそらく社長でしょう。

この社長さん、
雨漏りのした天井板を外すことなく
建替えの話、
社長さんからすれば、解体工事+新築工事の話へ誘導したはずです。

なぜなら、
もし天井板を外し、強力な懐中電灯で天井を照らせば、
どこから水が漏れているのか、一目瞭然。
その後のぼろ儲けの構図は水の泡と消え失せます。

なぜなら、
雨の跡は、ホコリが木に付着し
消えることなく残っているからです。

瓦であろうが、スレートであろうが、戸建の補修は簡単です。

屋根を覆う瓦やスレートを外し、
防水シートを二重張りにして、周囲をコーキング。
あとは瓦やスレートを元通りにし、その周辺を念のためにコーキングすれば
終了ぉおおお!

どんなに、値段を吊り上げようとしても、20万円を超えるのは至難の業。
半日で終了するのですから、当然です。

一方
ご実家のご両親を説き伏せ、解体工事と新築工事、
それに引っ越し業務と賃貸住宅の仲介に成功した社長さんは、大した弁舌の持ち主と言えましょう。

きっかけは、
雨漏り、
ただそれだけです。

天井板を外し、脚立で中を覗き込めば
どこから漏れているのか、あっちゅうまに、判明します。

ところが、
この社長さん、
おそらく、

「雨漏りって、奴はさぁ、、どこから漏れてきたのか、分かったものじゃないんですよ。
 水は駆け上がることもありますしね」

と、
どこかで聞いたような口を使い、
原因調査義務を納得の上で放棄!
そして、

「一度漏れると、あっちゃこっちゃで、漏れますからね……、弱りました」

と、
まだ、発生してもいない2度目、3度目の雨漏りを、
決定事項のように、ご両親の頭の中に刷り込んでいったことでしょう。

最初は、
「あら、いやだ。雨漏りじゃない」
だったのに、数時間後には、
新築住宅の希望を口にしているご両親……。
さぞや狐につままれたような顔をしているかと、思いきや!

人生最後の贅沢だと、
あれがいい、これがいい、
この間取りも素敵ね。
とかなんとか、
話しているそうですから、
部外者が口にはさむことは野暮。

まぁ、ヒョウタンから駒なのでしょう。

耐久消費財である、ご自宅であれば、
納得したなら、
それも選択肢の一つでしょう。
ただし、
貸家の場合は、選択の余地はありません。
建て替えなんて、もってのほか。
修理をすればいい。

 

そもそも、
仮に30坪の家を壊すとしたら、
解体工事費用は坪当たり7万円ですから、210万円。

それから3DKのアパートを借りる費用として、1カ月6万円として、6か月借りる場合、
仲介手数料に敷金、家賃保証料として2か月分を勘案し、8カ月ですから48万円。

アパートへの引っ越しと新居の引っ越し費用として合計20万円。
そして、新築住宅を35坪とすると、約2000万円。
その消費税が160万円かかります。
 

つまり、
①解体工事  210万円
②アパート費  48万円
③引っ越し費  20万円
④消費税   160万円
合計     456万円

驚いたことに、
新築工事費用2000万円以外に、456万円が必要となるのです。

そんなことなら、
雨漏り修理と一緒に、
床暖房、水周りリニューアル、外断熱を
すべて、
思うままにやったとしても、
400万円でおつりが来て、
どんちゃん騒ぎをできることでしょう。

え?
誰に頼むのか、ですか?

それは、もちろん、
口の上手い、社長さんじゃ、
ありません。

実際に、現場に立ち続ける、
職人さんへ、直に発注するのです。
 

不動産の知識を得れば、
上記のような、とんでもない、
無駄遣いを防ぐことが可能となります。

転ばぬ先の杖、ならぬ、
”騙される前の、不動産知識”
と、言ったところでしょうか。

慌てる必要はありません。
焦らなくてもいい。
ただ、あきらめてはなりません。

あわてず
あせらず
あきらめず

3つの「あ」を胸に、
一歩一歩、着実に歩み、
皆さんの目指すゴールを目指してください。

私は、
兼業大家さんを、心の底から応援しております。

以上、略儀ながらコメントまで。

 

藤 山 勇 司

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