自己資金の創り方

 

江戸時代に上演された上方歌舞伎、「恋飛脚大和往来 封印切」に

”金が無ぇのは、そっ首がねぇのと一緒ってもんよ”

という台詞があります。

 

なんとも、身も蓋もないセリフですけれど、
言い回しを変えながらも平成の世の中まで残っているのですから、若干の真理を含んでいるのでしょう。

確かに、兼業大家さんを目指す方々から、
自己資金をどうやって増やせばいいのか、数多くご質問を頂きます。

 
 

自己資金とは、言うまでもありませんが、借金をしてこさえた”現金”ではありません。

返済の必要のないCASHです。

 
「何、当たり前のことを言ってんの」
 

物事を突き詰め解決策を図るには、曖昧であっては、なりません。

厳格に定義し、
これまでの常識の中に潜んでいる、鍵を発掘しなければなりません。
 

例えば、
自己資金を増やす常識とは、

(( 貯金しかない! ))

ではないでしょうか?
 

しかしながら、
自己資金の厳格なる定義は、

『返 済 の 必 要 の な い CASH』

です。

 

貯金は、自己資金の定義の一部に過ぎません。

 

「そりゃそうだけどさ、他に何があるの?
 勤めのあとでバイトでもしろってんの
 それこそ、会社にバレたら、
 大目玉くらうことになるでしょうよ」

 

勤務規定に積極的に違反しろとは一切申しておりません。

ルールを破れば、罰則を喰らうリスクがあるのは当然のこと、兼業大家さんになる以前の問題です。

 

まず『返済の必要のないCASH』とは、
キャッシュフローの増加であることを、
ご理解頂くのが第一段階です。
 

「キャッシュフロー? どういうこと」
 

簡単に申し上げると、
支出と収入の差に加え、特別利益もしくは特別損失の合計です。
 

「またまた、わけわかんないこと言ってるよ」
 

商売の鉄則とは、入りを図り、出を抑えることです。

 
商売の鉄則では、収入を増やすことと、
支出を減らすことの両面の大切さを述べているのですが、

 
サラリーマンが貯金を増やすには、
収入は決まっていると思い込んでいるので、支出を抑えることに注力してしまいがち。

 

生活レベルを急激に抑えるのは
キツイし、辛い……。

そんなことなら、やらない方がいい。

少し貯まるとストレス発散で散財してしまい、元の木阿弥になってしまう。
 

ダイエットに例えれば、
食べる量を減らすことだけに囚われた肥満の方が、ダイエットに挑戦しては、リバウンドしてしまう結末と似ていると思うのは私だけでしょうか。
 

「だからぁ、他に何があるのよ」
 

CASHフローを増加させる三箇条は、

①支出を効果的に抑制する

②収入を合法的に増加する

③寄付や贈与など、第三者から返済の必要のないCASHを手に入れる

です。
 

「寄付や贈与?
 何か美味そうな匂いがしてきたな。
 それ教えてよ」
 

そう、来るでしょ。
だから、あまりお話ししたくなかったんです。

ご認識、いただきたいのですが、
③の寄付や贈与だけでは成立しないんです。
①と②、支出の抑制と収入の拡大を
しっかりさせないと、③は成り立ちません。

 
「わかった……。ちゃんと聞きます」

 
なんと言っても、基本は支出の抑制、言い換えれば自己抑制能力の向上です。
 

いくら儲けても儲けても、
それ以上に使い続ければ、破綻してしまいます。

往年のヘビー級ボクサーのマイク・タイソン氏は、
今ではラスベガスの片隅で暮らしていますし、
故マイケル・ジャクソン氏の豪邸は差し押さえられてしまいました。
 

儲ける能力以上に、
自己抑制能力の向上は欠かせないスキルなのです。

まず、
『支出を抑制する』には、支出傾向を分析することです。

 
支出の最大値は何でしょう?

難しく考える必要はありませんが、
なんとなく、無くなり続けるのはよくありません。
それでは、納得して節約できるはずがないのです。

 
例えば、独身の10大支出費は、
 住居費
 生命保険
 車両費
 外食費
 上下水・光熱費
 通信費
 食料品費
 交際費
 衣服費
 娯楽費
上記です。
 

家族持ちの方だと、ここに、
 教育費
 医療費
 個人年金
 が、追加されることになります。

 
「なるほど、
 まぁ、そうなるね。それで、どうするの?」

 
代替案が可能か否か、評価するのです。
例えば、今の住居費は、本当に妥当かどうか。
遠くて狭い住居、
シェアハウスや、実家に戻る
もしくは、ルームシェアや
お付き合いしている異性の家に転がり込む
などなど、
変革の余地はないかどうかを、ご自分で確認するのです。

 
「他には?」

 
私であれば、
生命保険は解約しますし、
クルマは売り払いますし、
外食はNG、昼食も弁当を基本
休日は図書館で本を読んだり、学習に当てて、
上下水・光熱費を節約しますし、

通信費は、スマホをやめて、ガラケーにし、
自分から電話をかけることしません。
食料品は、自炊
交際費は必要最低限に抑え
衣服費は下北などで中古を活用し、
娯楽費はテレビ番組で代用します。

 
実際、
競売不動産に入札するまでの平成3年半ばから平成5年前半で上記の生活を続け、
寮費1.5万円以外の生活費は毎月3万円に抑えました。

 
「キツゥ~、ムリだわ。大変だったでしょ」

 
いえ、意外と楽しかった。
ゲーム感覚というのでしょうか。

テレビの1か月1万円生活
と言う番組をご覧になった方であればお分かり頂けると思うのですが、目標があれば、面白いものです。

 
そう、必要なのは、明確なビジョンです。

節約して、何をするのか、どうなりたいのか、
だからこそ、
現在、節約に努力しているのだ!と、
明確なビジョンを己の中に構築するか否かが動機の強さにつながり、結果に結びつくのです。

 
CASHフローを増加させる三箇条の2つ目は、
『収入を合法的に増加する』です。
 

私の場合、まず、
それまでの愛車、ペルソナを70万円で売り払いました。
結果として、車両費は毎月5万円からゼロになり、支出の抑制にも結び付きました。

 
その後、株で信用取引を成功させ
2か月半の間に、250万円を850万円まで増大させました。

 
「なんで、そんなに大儲けできたの?」
 

商社に勤めていましたので、マスコミに報じられない一次情報に触れることができたのです。
その情報とは、免疫不良症候群、今で言うエイズです。

東南アジアで血を媒介する謎の病が流行っているという
海外駐在帰りの先輩から聞き、フマキラーと岡本理研に集中投資し、成功したのです。

 
「すごい!
 でもなんで続けなかったんですか?」
 

怖いと、、、
こんなに簡単に儲かるなら、簡単に損をすることになると、思い至ったからです。

それ以後、一切株投資はしていません。
 

「でも、それって参考にならないなぁ……」
 

合法的に収入を増大させればいいのです。
服務規程にも違反しないで。

例えば、
持ち物の中にビンテージ物の
お宝はないでしょうか。
クルマやバイクは本当に所有し続けなければ、ならない逸品でしょうか。

荷物が多いから、独身なのに2DKや3DKに住んでいるなら、
捨てられない逸品以外は廃棄か売却し、住居費を安くする方法を選択できない物でしょうか。

 
他には、
ご夫婦でお子さんがいらっしゃらないなら、
2年、もしくは3年と区切り、
一人の給与でやり繰りし、一人分の給与を貯蓄に回せない物でしょうか。

貯蓄だけでなく、株式の分散投資やREITで多少でもお金を増やせない物でしょうか。

 
少し、視線を変えるだけで、
以上のような手段が思い浮かぶものです。
 

合法的に収入を増やす!!

意外とある。
そのことをどうか、
再認識していただければと存じます。

 
そして最後に、
CASHフローを増加させる三箇条の3つ目は、
『寄付や贈与など、第三者から
 返済の必要のないCASHを手に入れる』
です。
 

「待ってました。それが聞きたかったんだ」
 

寄付や贈与は、返済の必要のないCASHです。
では、誰が皆さんに
寄付や贈与を下さるのでしょう。

 
通りすがりのお金持ち?
あり得ません。
お金持ちは、意外と渋ちんです。

投資効果の無い対象に、1円だって支払ってこなかったからこそお金もちになったのですから、
なんの関係もない第三者に寄付や贈与をすることなどあり得ません。

 
では、誰でしょう?
身内です。

それも、御父上やお母上ではありません。
彼、彼女は、今や第二の人生の真っ最中です。
人生を卒業するまでに、どんな苦労があるのか、疑心暗鬼です。

子供達にお金をかけてきた……。
だから、苦労しているんだ、
と、皆さんを恨めがましく、
思っている可能性だってある。
お金の無心など、しようものなら、
 

「お前、不動産投資する金あるんなら、
 父さんや母さんに、海外旅行でも
 プレゼントしようなんて気はないのか、
 この親不孝者め!」

と、藪蛇になる恐れも、ゼロとは申せません。
 

「って、ことは爺ちゃんや婆ちゃん?」

 
正解!
 

「孫は目の中に入れても、痛くない」と、昔から言われているでしょ。
そのものズバリ、”孫”と言う演歌だってあるんです。

伝え続けられる言い伝えには、物事の真理があるものです。

 
「でも、全然連絡を取ってないな。
 今更って感じがしちゃうなぁ、ムリだよ……」

 
魔法の言葉があります。
この言葉を相手に伝えると、
例え、10年、
いやいや30年音信不通の身内であっても、
いきなり、仲良くなれる違和感のない言葉、

 
それは、

((ばぁちゃん? 俺、孫のアキラ、
  昨日さ、夢でばぁちゃんの夢を見てぇ、
  元気かなぁって思って……。
  元気かい? ))

 
最初から、金の無心をしてはなりません。
ファーストコンタクトでは、
祖母の健康を心配する、
心優しい孫として接する。

その後もなんどか、ご機嫌伺いの時間を取り、
会いにゆき、心が通った頃に、取得した貸家の話題をするのです。

 
そして、なぜ、そんな貸家に投資したのか理由を話す。
その理由こそ、大事な乾坤一擲の言葉。

それは、
「ばぁちゃん、昔言ってくれたろ。
 お金は大切だって、
 大切にして使うんだよって」

なんでもいい。
場合によっては、作り話だって構わない。

 
自分の一言で、
心優しい孫は、貸家を運営している。
見事だ。
なんと素晴らしいことだ。

よし、この孫の為に、
老い先短い私は、何かできることはないか。
そうだ、
子供にも内緒にしていたヘソクリ、
いや、
定期を全部あげようか。
そうだ、そうしよう。

 
ショートカットして記述すれば、
こんな具合です。
 

なぜ、
おばあちゃんが、
そんな気持ちになるのかと言えば、
 1.心優しい孫
 2.貸家を運営している実績
 3.その切っ掛けが自分の言葉
だからです。

 
人生卒業間近の方々にとって気になるのは、
身内に忘れてしまわれることです。

死んだ後も誰かに覚えていてもらいたい。

そんな気分、お分かりになるでしょうか。

 
だからこそ、人生を掛けて稼いできた、残したお金は有意義に使ってもらいたい。

 
そう思うもの。
 

それには、
自己抑制能力を磨き、一軒目の貸家を取得し、
給与所得以外の家賃を収入とし、
贈与してくれる祖父母の信頼を勝ち取り、
返済の必要のないCASHで更に貸家を積み増せばいいのです。

 
以上、略儀ながら感謝とともに。

 

藤 山 勇 司

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