不動産と生兵法

 
不動産……

〇ある人にとっては、
 憧れのマイホームであり、

〇ある人にとって、
 実家から出て暮らす初めての賃貸物件、

そして、

〇ある人にとっては、
 財務基盤強化のための投資物件……

さて、
 本当に、
  皆さんは、
   不動産の実態をご存知でしょうか?

 
「じったい……
 んなこと言ったって、
 千差万別、
 一概に言えることじゃないでしょ」
 

では、
不動産を大きく分けると、何と何になるでしょうか。

 
「そうだね、
 土地と建物、かな。
 よくわからんけど。
 違う?」
 

大正解です。

実際に、
不動産の登記簿謄本は、土地と建物の2種類です。

そして、
不動産は、

樹々や山や川のように自然物ではありません。
人間が規定した人工物です。

 
「いやいや、
 土地は元からあったものでしょ。
 人工物じゃないでしょ」
 

いいえ、
土地も隣地所有者間で合意して境界杭を設置し

境界を確定して、土地測量図を作成し

土地の登記簿謄本により、所有者を明示し

国や市区町村は、

固定資産税や都市計画税を
不動産所有者から徴税していますので、

どこからどう見ても
人工物です。

 
「まぁ、そうとも言えるね。
 で、何が言いたいの?」
 

まず、
申し上げたいのは、

不動産は人の利用があって、
初めて価値が出るものであり、

誰にも見向きもされなくなると、
腐り果てる
寂しがり屋な存在であるという事実です。

 
そして、
人のスケールと生活習慣は、大きく変わりませんから、
建物の間取りや設備も大きく変化はしません。

 
「でもさ、
 和室よりも洋室が好まれてるし、
 和式便所は絶滅危惧種的になってるじゃない」

 
確かに、
多少の変化はありますが、
おトイレの数が以前1つだったものが
5個や10個になることはありません。

皆さんの本業の変化と比較すると、
建物の仕様の変化の割合は
無視してもいいレベルではないでしょうか。

 
例えば、
携帯電話、

バブルの頃はバックほどだったものが、
今ではイヤホンや腕時計ほどのサイズに変わっています。
当然、部品も小さく高機能に向上しています。

本業をお持ちの皆さんであれば、
日々変化する経済状況や
技術をキャッチアップしながら、
業務をこなされているはず。

そんな皆さんであれば、
不動産の基礎知識を吸収するのは
たやすいはずです。

 
「いやいや、
 そりゃ無理だわ。

 確かに見た目、
 わかりやすいかもしれんけど、
 騙される投資家がわんさかいるじゃない。

 だから、
 不動産仲介業者のプロがいるんじゃないの?」

 
もしかして、
いい仲介業者に巡り会うことが、
不動産投資で成功する秘訣!
とか思っていませんか?

 
「そりゃそうでしょ。
 世間に出回る前の売り物件とか
 利回りのいいアパートなんて、

 敏腕営業マンと仲良くならないと
 手にはいらないじゃない」
 

はっきり申し上げますが、
そうした人任せの心構えだとしたら、

いつの日か、
全財産なくなるどころか、
莫大な借金に押しつぶされてしまうことでしょう。

 
「なんで?」

 
敏腕な不動産営業マンであったとしても、
真正直な人は稀であり、

自ら腹が減れば、
知り合いの投資家を喰ってしまう
オオカミと紙一重な
存在だからです。

一度信用すると、
 その人物に頼り切ってしまう。
  そこが非常に危険です。

 
なぜ、自分で不動産の価値を判断しようとしないのでしょう。

なぜ、不動産仲介業者の意見を
 鵜呑みにしてしまうのでしょう。

その行為が、自らの人生をギャンブルに変えてしまう
 危険性を理解しているのでしょうか。

 
「いやいや、
 不動産はそんな
 一朝一夕に理解できるものじゃないでしょ。
 だから、プロがいるんじゃない」

 
先ほども申し上げましたが、
不動産の変化は、大きくありません。

人のスケールも生活様式も様変わりすることはありませんから、大した違いはないのです。

ですから、

一度、不動産の判定技術を獲得してしまえば、それでおしまい。

不動産仲介業者に意見を聞く必要もなくなります。

 
さらに申し上げれば、

不動産仲介業者に
 (この不動産はいい物件ですか?)
   と質問したとしても

(いい物件です。2度と出ない出物です。
 お買いになるかどうか、
 直ぐに判断してください。
 でなければ、
 次のお客様に回さないとなりません)

と、煽られるのがオチ。

冷静な判断を失わせるのが、彼らの常套手段です。
 
 
「でも、
 どうやって
 不動産の価値を見分ければいいの?」

 
不動産は土地と建物です。

そして、
不動産は動かない財産ですから
立地が非常に大切な要素!

例え、最新式のシステムキッチンで
ジャグジー付おフロの6LDKだとしても

人里離れた一軒家だとしたら、
誰も借りては現れません。

ですから、土地の人気を調べることが
第一となります。

 
「土地の人気って何?」

 
土地の人気は
土地の価格を調べれば、容易に判断できます。

 
「価格って
 それこそ、仲介業者に
 聞かないと、わからないでしょ」
 

市区町村名と路線価図で検索をし、
物件の路線価を弾き出してみてください。

場所を特定するには、
Googleマップで物件の場所を特定し、

路線価図の道路と比較して、
物件の場所を探すといいでしょう。
 
 
道路は、
人の静脈と同じように、
一つとして同じルートはありませんから、

道路の形状を比較すれば、
物件の路線価を特定することができます。

路線価の数値は平米当たりの単価であり、単位は千円です。

例えば、70Dと
書かれていたとしたら
1平米当たり7万円ということです。

最後のアルファベットは
その周辺の借地権割合でして、
無視して構いません。

市場価格にするには70%で割り戻すこと。

7万円を70%で割り戻すと、
その物件の平米当たりの単価は
10万円であることが判明します。

 
仮に2800万円のアパートがあったとして、
土地が200㎡だとしたら、

土地の価格は平米当たり10万円ですから
土地の価格は2000万円、

残りの800万円が建物の価格であると理解できます。

 
不動産の価格はまとめて幾らで
出されていますが、
その実態は土地と建物の価格の合計金額です。

土地の価格は路線価から見て、
凡そ判断できますので、

土地の価格を合計金額から差し引けば、
残りは建物の価格となるわけです。

 
そして、
土地の価格の判断基準ですが、

地方の物件であっても、
坪5万円以下の戸建は購入するべきではありません。

なぜなら、
原野を宅地にするための費用が
坪当り5万円前後かかるからです。

つまり、坪当り5万円以下の宅地は
原野をタダで貰っても、
宅地の費用が出ないことになります。

そしてアパートの場合のハードルは坪当り10万円、
分譲マンションのハードルは坪当り20万円です。
 
 

ここを頭に入れ、
周辺の類似物件の売却情報を比較すれば、

自分が購入対象として検討している物件が
相場よりも高いのか安いのか、
業者に聞かなくても理解できることでしょう。

 

たった、
これだけのことで、
割高な物件から遠ざかることができるのです。

心のどこかに
 留めて頂ければ、
  幸いです。

 

以上、略儀ながら感謝とともに。
 

           藤 山 勇 司 

 
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