今から凡そ1000年前、
中国の宋での出来事です。
二十歳を少し超えた農家の若者が
畑の開墾に汗を流していると、
矢のように走るウサギを目にします。
かまわず、
もくもくと鍬(くわ)を振り上げる
彼の耳に……
( ドスン )
と言う鈍い音が届きます。
何事が起ったかと、いぶかし気に
顔を上げると、
幹を切り倒したばかりの切り株に
先ほどのウサギが頭から突っ込み
こと切れていました。
それ以来、
彼は、開墾を放り出し、
切り株の番をし、
ウサギを捕ろうとしたそうです。
上記の故事から
「株を守りて兎を待つ」
その意味は、
・古い慣習
・過去に偶然した経験
・濡れ手に粟の儲けた出来事
に、こだわり
停滞し……
努力を忘れ……
進歩や融通が利かない……
ことを戒めるコトワザとして伝承されてきました。
「ふ~ん、
で、それが何と関係あるの?」
まず、
「株を守りて兎を待つ」
のコトワザの被害者は誰でしょうか?
「ひがいしゃ?
そりゃ、農民でしょうよ。
開墾を役人に命じられたのか、
それとも、新規にさ、
自ら畑の開拓を意図したのか、
そりゃ分からんけど、
途中でほっぽり出して、
株の番って……
そんな都合よく
ウサギが次から次に
飛び込むはずがないんだし。
親がいりゃ、嘆くだろうし
恋人がいりゃ、別れを切り出されるだろうし
自分自身も、生きるか死ぬかの瀬戸際になるでしょうよ」
なるほど、
いつになく饒舌ですね。
それはともかく、
ウサギはどうでしょう?
「あ、そうか、
ウサギは死んだんだ。
おバカさんが
夢中になったのは
金に換えたか、食ったからでしょ。
でもさ、
それって、
自業自得じゃないの?」
何があったのか、
それは判りませんが、
変わらぬ日常などないにもかかわらず、
いつもの獣道のつもりで
走っていた兎さん。
どこか、所有個数を競う
メガ大家さんと呼ばれる方々と似ていないでしょうか?
「どこが?
メガ大家さんは
ウサギと違って賢いでしょ。
バカ言うもんじゃないよ。
彼らに失礼でしょ。
雲の上の存在でしょ。
年間家賃がさ、
5000万どころか
1億、2億、3億だって
ザラにいるんだから。
なってみたいもんだよ」
メガ大家さんの特徴をかいつまむと……
☆フルローンで買える物件を探す
☆長期返済で金利を抑え返済は家賃
☆管理は業者任せ
☆出口戦略で儲けが見込めれば売却
☆出物物件をいち早く見つける為不動産仲介業者との人脈を開拓
と、言うことになるのでしょうか。
「そうそう、
でもさ、
それがなかなか難しいんだよね」
表面だけをさらうと、
どれも真面に見えます。
しかしながら、
大家さんの実態を図る物差しを当ててみると、
落第レベルであることが分かります。
「聞き捨てならないね。
いったい何がダメだって
言うのよ?」
残債比率(ざんさいひりつ)
です。
この残債比率の出し方は
分母が残存債務……
ありていに言えば、
抱えている借金の総額です。
分子は昨年の受取家賃総額……
満室家賃総額でないことにご注意ください。
公式にすると
『 年間受取家賃÷残存債務=残債比率 』
と、なります。
「あらま、なんか簡単だね。
で、それで何がわかるの?」
大家さんの
経営安全度です。
残債比率を簡単に表現しますと……
Sクラス 20%以上 超安定
Aクラス 15%~20%未満 ほぼ安定
Bクラス 12%~15%未満 安定
Cクラス 8%~12%未満 ほぼ危険
Dクラス 5%~ 8%未満 破産寸前
Eクラス 5%未満 即死レベル
にもかかわらず、
メガ大家さんと呼ばれる方々は大半が
CクラスかDクラス……
流石にEクラスのランクの方は
寡聞にしてお目にかかりませんが、
Eクラスの物件を
キャピタルゲイン目的で購入する方々も
ちらほらと見受けられます。
それもこれも出口戦略をベースに
据えているからこそ、出来るのでしょう。
ただ……
「ただ、何?」
・<金利の上昇>
アメリカのFRBは政策金利を0.25%引き上げ、
年率1.75%~2.00%にしています。
日本の金利はゼロ……
その差は1.75%~2.00%です。
これまでの日米の金利差からすると
許容範囲は2%です。
いいも悪いもない、
金利の上昇を織り込む必要があります。
・<経年劣化による入居率と家賃の下落に修繕費用の上昇>
出口戦略で関係ないと思われているのでしょうが、
時間が経ち、維持管理を適切にしなければ、
入居率は下がり、家賃は下落し総家賃収入は下落します。
また、いつか売ると思っているので、
必要な維持管理を先送りにし、
通常物件よりも劣化は早く進みます。
いい物件は売れてゆき、
残されるのはクソ物件ばかり
気が付くと、所有する物件はクソ物件ばかりとなりかねません。
・<地域全体の賃貸需要が落ち込む可能性がある>
例えば、東京都町田……
駅前はにぎわっていますが、
賃貸市況は最悪です。
ワンルームの月額家賃は1万円台
2DKでさえ、2万円台の前半です。
とてもではありませんが、新築物件の建設費を回収などできません。
賃貸市況が悪化した原因は
供給過多です。
人口増加を凌駕する新築物件があちこちに建ち、
過当競争となっているのです。
東京ばかりでなく、
大分県の杵築市(きつきし)の賃貸需要も最悪の事態となっています。
キャノンの大分工場の撤退を主因として
家賃が釣瓶落としのように下落、
町田以上の下落に見舞われ、
月額家賃1000円、管理費3400円、
大家さんは月額マイナス2400円という
信じられない苦境に立たされている物件もあるのです。
こうしたリスクを織り込むとしたら、
とてもではありませんが、
残債比率8%前後で
拡大、拡大、拡大、またまた拡大!!!
なんて、無謀な戦略を取れるはずがない、
まるで木の根っこに頭から突っ込む兎と瓜二つと
感じるのは私だけでしょうか?
大家さんの経営安全度を図る尺度の
「「 残 債 比 率 」」
どうか、
お忘れなきように。
そして、
またまた、
次々に
ウサギが木の根にぶつかることを
夢見て、
株の番をすることを
選択してしまった
20歳を少し超えたばかりの
農民も
被害者です。
彼が失った最大の宝物は
周囲からの信頼です。
畑を開墾し続けるのは
並大抵の決意ではなかったはず。
開墾している間は食糧の援助を含め、
周囲からの助けが影に日向にあったはず。
にもかかわらず、
信頼の礎である
開墾作業をほったらかし、
木の根の番……
・あきれ果て、
・無視をし、
・放逐を決意
される運命です。
彼と同様の
大家さんのアクションは
たまたま購入した物件が
市場価格を外れた
高値で売れたとします。
それに味をしめた
大家さんは
維持管理にお金をかけず、
手持ちの物件を以前と同様に、
市場価格を無視した高値で売却依頼し、
捕らぬ狸の皮算用ばかりしている……
・クレーム対処しないので店子は退去し
・不動産仲介業者は呆れはて入居募集をしなくなり
・売却仲介業者も広告費がなければ、募集に応じない
世間から
隔絶された状態に陥るのに
時間は左程かかりません。
大家さんの真剣勝負は
購入後にも続く……。
この真剣勝負から降りると、
敗者の烙印が押され、
早晩、所有権も失うことになりかねません。
大家さんの業務は
畑の開墾と同様に、
果てしないかもしれません。
しかしながら、
豊かな農地を実現できれば、
確実に収穫を
もたらしてくれます。
鶴の恩返しならぬ、
貸家の恩返しは、
所有者の所業次第です。
この点、
肝に銘じたい!
私自身もそう思います。
以上、平成の最後の秋と冬を控えて
藤 山 勇 司
=========================
大人気セミナー 開催決定!
=========================
競売不動産の名人 藤山勇司が教える
ゼロから学べる 初心者のための
「やさしい不動産投資入門セミナー」
【日程】
2018年 9月15日(土)13:30~16:30
【場所】
東京・神田駅徒歩1分
【セミナー内容】
不動産投資の初心者に向けて、藤山先生が
「競売」を使って格安で物件を手に入れる方法をお知らせします。
– 競売を活用して、利回り20%を可能とする藤山流メソッドとは?
– こんな物件を買ってはいけない!藤山流物件選びの極意
– 競売で高利回りを達成している先輩受講生の 最新実例を公開
など、最新の競売事例も含んだ盛りだくさんのノウハウをお伝えします。
毎回、満席にとなりキャンセル待ちが出る大人気セミナー
あなたもお早目にお席を確保してくださいね。
詳細・お申込みはこちら!↓
==============================
藤山勇司公式サイト ソーシャルリニューアルしました!
フォロー・友達登録募集中!
ソーシャル限定の特別なお知らせを配信予定です!
Facebookページ いいね!はこちらから
https://goo.gl/aHo31M
LINE友達登録はこちらから
https://line.me/R/ti/p/404xwZg6DJ
Twitterフォローはこちらから
https://goo.gl/MvgRuI
==============================