クレーム処理の反応と効果

 
”大家さん”とは、
・不動産を所有し
・店子に有償で賃貸し
・運営する
経営者です。

「経営者?っておおげさでしょ」

 

いいえ、
間違いなく、
大家さんは所有する貸家に対し
全ての選択を付託されているのですから
経営者であることに間違いありません。

 

「そりゃ、
 そうかもしれんけどさ、
 まだ、
 ワンルーム1戸と
 戸建が2戸だけだし
 経営者って言うほどのもんじゃないよ。
 
 それに、
 客からクレームがあると
 結構たいへんだから、
 あんまり増やさない方がいいかな……
 なんて考えてるところなんだよね。
 ほんと、
 店子はいい加減だから……」

 

”店子がいい加減”とは、
何かトラブルがあったんですか?

 

「トイレが詰まったって
 連絡があったからさ
 四方八方手配して、
 結局、
 水のトラブル110番、みたいな奴?
 テレビでやってるやつあるじゃない。
 あそこの業者に頼んで直してもらったらさ、
 4万円に消費税で4万3200円だよ。
 払ったんだけどさ、
 排水詰まりの原因はさ、
 犬のクソをティッシュに丸めて
 流そうとした塊が詰まっていたってわけ。
 頭来てね……
 今も揉めてる最中……
 
 不動産仲介業者は、
 こっちの味方なんだか、
 あっちの味方なんだか
 分かんない奴で、
 もう、
 ほとほと呆れちゃって」

 

確かに、
店子さんの中には
常識をわきまえない方々は
稀にいらっしゃいます。

 

「ねぇ、
 そんな時って、
 どうすりゃいいの?
 あんまり怒らせたら、
 出て行かれても困るし、
 かと言って、
 泣き寝入りすると、
 態度を改めないだろうし、
 それに遠方の物件で
 クレームがあったら、
 にっちもさっちもいかないし、
 ねぇ、どうやってるの?」

 

まず、
クレームの70%~80%は
水廻り関係です。
つまり、
信頼のおける水道業者がいれば、
クレームの7、8割は
即時解決できます。

 

「その信頼のおける業者が
 いないわけじゃない。
 いつも問題があるわけじゃないから、
 こっちを優先してくれるもんでもないし」

 

中古不動産を購入して、
リフォームをした際、
水道業者は必ずいらっしゃったはず。
その時にお世話になった
業者さんに3カ月に一度、
例えば、季節の始まる直前頃、
にハガキを出すといいでしょう。

ポイントは、年賀状や暑中見舞いの時期を外すこと。
なぜなら、
たくさんのハガキに埋もれて、
皆さんの出したハガキは右から左に
通り抜けてゆくからです。

 

「何て書いたらいいの?」

 

なんでも構いません。
〇家族のこととか、
〇貸家は元気ですよとか
〇あの時にはお世話になりました
とか、

 
  
「ふ~ん、効果あるの?」

 

抜群にあります。
なぜなら、
定期的にハガキが送られてくると、
知り合いになったような
気分になるのです。

別に仕事がないとしても
知り合いからの依頼であれば、
特別扱いしてくれるのは
世の常。
定期的なハガキには、
その効果があります。

 

「なるほどね。
 まぁ、
 騙されたと思ってやってみるわ。
 で、
 安くなるの?」

 

トイレの詰まりで
4万3200円というのはボラれすぎです。
知り合いの物件であれば、
出張費と施工費の合計で
8000円~12000円程度で終わることでしょう。

 

「へぇ~
 4分の1じゃん。
 でもなんでそんなに差があるの?」

 

お客さんは
テレビCM費や
電話のオペレータ―費用も
払っていることを忘れてはなりません。

工事を直接施工する職人さんが受け取っているお金は
おそらく6000円~8000円程度。
その他は、
組織内で分配されているのです。

職人さんと直接アクセスしておけば、
そうした余計な経費を負担する必要がなくなります。

クレーム処理してくれる業者さんを
確保しておくのは鉄則ですが、
その他にも店子さんに対しての対応も
大家さんに求められます。

 

「どういうこと?」

 

先ほど、
店子さんと揉めていると
仰っていらっしゃいましたが、
よろしくありません。

 

「なんで?
 犬のクソを丸めたティッシュだよ。
 完全に店子が悪いじゃない。
 オレ、間違ってるかな?」

 

私の場合、
最初のクレームは
大家さんの負担とします。
原因をはっきりさせた上で

『今回は特別にこちらで負担します。
 ですが、次回は全額、
 ご負担してもらうことになりますから
 ご注意いただきたい』 

相手も、
(自分が悪かったかな……)
と、思っているところへ、
初回は、
金銭的な負担は求めないが、
次回は、
ダメですよ。
と、宣告されると、
『すいませんでした。気を付けます』
と、素直な態度を取るものです。

 

「なるほどね。
 損して得取れって、ことか。
 他にさ、
 クレーム処理で
 注意する点ってあるの?」

 

クレーム処理を一言で申せば、
”転ばぬ先の杖(つえ)”
ならぬ
”クレーム前のリフォーム”
です。

 

とかく、
特に出口戦略を経営の柱にしている
大家さんは、
リフォームを先送りにしがちです。
なぜなら、
出口戦略の要諦は
大規模修繕を次の買い手に押し付けて
利益を極大化させることにあるからです。

 

「まぁまぁ、
 転売はそうしたもんだよね。
 でもさ、
 何でクレーム前のリフォームなの?」

 

よく驚かれるのですが、
藤山家では120件程の貸家を
運営していますが、
ほとんどクレームの電話は鳴りません。
なぜなら、
先に先にリフォームをしているから、
文句の種を次から次に潰しているからです。
そして、
何か要望があれば、
ドンドン直す。

 
  
「お金が幾らあっても足らなくなるじゃない」

 

それがそうでもない。
結局、
直す箇所は
いずれ、直すことになる。
早いか遅いかの違いだけ。
 
ところが、
効果は真逆です。

迅速に対処すれば、
店子さんの不満は消えて
仲介業者の信用は高まります。

一方、
先送りにして先送りにして
店子さんの責任も追及して
仕方なく、
クレームに対処したとすると、
店子さんの不満は爆発し
仲介業者の信用はなくなり
次の入居募集も及び腰となり、
不動産の劣化は進みます。

この事実は、
仕事に例えると
理解願えることでしょう。

と、申しますのは、
ご存知のように
仕事には納期があります。

納期内よりもいち早く
仕事を終えると、
評価されます。
一方、
納期を過ぎても
仕事が終わらず、
せかされて
仕事をしている
社員の評価は落ちるのは当然です。

ところが、
仕事量はどちらも
似たり寄ったり……

ならば、
先に仕事を終えた方が
いいのは当たり前です。

貸家のクレームは
不動産の不具合を直すだけのこと。
新たな機能を追加するわけではありません。

ならば、
いち早く直す。

そして、
もう一歩進めて
クレームが起こる前にリフォームをすると
店子さん、賃貸仲介業者もハッピーですから、
貸家を運営する経営者である
皆さんも心安らかに過ごすことができるのです。

”クレーム前のリフォーム”

心のどこかに留めて頂ければ幸いです。

平成最後のクリスマスを前に
  
 

    藤 山 勇 司

 

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行き過ぎた節税アクションの末路 ~カルロス・ゴーン編~

 
「驚いた、驚いたぁ……
 まさか、こんなことが起きるとはね……
 いやぁ、ビックリだわ」

 

何のお話ですか?

 
「知らないの?
 日産のカルロスですよ。

 20年前の1998年にさ、
 2兆円の有利子負債を抱えて
 経営危機になったじゃない。

 そこに、救いの手を差し伸べたのが
 ルノーでしょ。

 ほんでもって、
 日産に送り込まれたのが、
 当時副社長だった45歳のカルロスだよ。

 それが、逮捕だよ。
 ビジネスジェットで羽田に着陸した途端、
 東京地検特捜部の係官にさ、
 3時間も因果を含められて、
 ガチャンだもんね。

 ひどくない?
 フランじゃ、クーデターって言われてるし、
 日本の評判、最悪になるんじゃないの?」

 

なるほど、逮捕の理由はご存知ですか?

 

「ああ、だいぶ、
 はっきりしてきたじゃない。
 報酬の誤魔化しって言ってもさ、
 まだ貰ったわけじゃないじゃない!
 辞めた後のことでしょ。

 確かにさ、
 全部合わせたら、
 120億くらいかもしれんけど、
 支払われるときには、
 税金払らうんだから、
 いいじゃない。

 煎じ詰めたらさ、
 将来の支払い金額を
 有価証券報告書に
 記載しなかっただけでしょ。
 確か……
 逮捕理由は、
 “金融しょうひんと、と”」

 

金融商品取引法違反(きんゆうしょうひんとりひきほういはん)
ですね。

 
 
「でもさ、その、
 金融商品なんちゃら
 で逮捕って、
 なんかしっくりこないよね。
 どういうこと?」

 

金融商品取引法違反
の実行行為者、
つまり、
実際に違反をした犯行者は
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科です。

 

今回の容疑としては
『有価証券届出書・発行登録書・有価証券報告書・訂正報告書等について
 重要事項に虚偽記載のある書類を提出した者』
に該当します。
 

日産は上場企業ですから、
一般人や企業そして投資会社は
有価証券報告書を精査し、
投資の是非を検討するものとされています。

 

「そんなの、
 見て株式投資する奴なんかいないでしょ。
 そうじゃない?
 こじつけでしょ」

 

まぁ、
有価証券報告書を
分析して株式投資をする一般人は
レアかもしれませんが、
投資会社においては
舐めるように分析するのは、事実です。

なにせ、分析材料は
有価証券報告書こそ、
第一級の企業資料ですから。
 

そこに、嘘があると、
株式市場の健全性が
阻害されるとされているのです。

この法律は
ホリエモンのライブドア事件に
見直されまして、
最高刑が5年から10年に引き上げられたことでも
知られています。

 

「まぁ、
 そうかもしれんけど、
 訂正すりゃ
 いいだけじゃないの?

 明石家さんまさんばりにさ、
 ”いやぁ~
 めっかっちゃった?

 そうそう、
 報酬のほかにさ、
 120億ばかり
 貰う契約をしちゃってるんだよね。
 でもさ、
 倒産間際の日産をV字回復したでしょ。
 GMとかフォードとかクライスラーの
 経営者からしたら
 可愛いもんでしょ。

 まぁ、
 めっかっちゃったんなら、
 訂正するから
 許してチョンマゲ”

 とかなんとか、
 おちゃめにしてりゃ、
 笑ってくれるんじゃないの?

 それを何!

 カリスマのカルロス、
 何か、響きいいね。
 ”カリスマのカルロス”

 あしたのジョーのさ、
 カーロスリベラっぽくない?
 あいつは結局……
 パンチドランカーの廃人になっちゃったけど。

 カルロス・ゴーンさんも
 落ち込んで、廃人になるかもよ。
 日産にしたらさ、
 命の恩人をそんなに追い込むなんて、
 酷くない?
 日本人の意気地はどうしたの?」

   

ここからは
私の想像が入りますが、
おそらく、
実態に近いのではないかと
考えておりますので
お聞き願えますでしょうか?

 

「おお、
 聞かせて貰おうじゃない」

 

今回のケース
表に出ている主な3つのファクトを列挙しますと

〇東京地検の捜査案件であり、在宅起訴ではなく逮捕した。
〇日産・三菱はゴーン氏の代表取締役会長を解任した
〇フランスのルノーは、同氏を解任していない。

 

以上となります。

 

「当たり前でしょ。
 どの新聞見ても、
 そう書いてるわ
 それが、どうしたって言うの?」

 

ゴーン氏は
ルノー・日産・三菱
3社の代表取締役会長でした。
今回の逮捕劇を受け、
日産と三菱は全取締役一致で解任、
一方、ルノーは解任保留です。

この結果は、
フランスと日本の認識の差を表しています。

 
ちなみに、
2017年の生産台数は

日産   570万台
三菱   120万台
ルノー  380万台
合計  1070万台

です。

 
つまり、
3社を統合すると、
トヨタやフォルクスワーゲンに匹敵する
自動車会社が出現するわけです。

 
そして、
フランス政府は
ルノーの株式を15%保持しています。

 
さらに、
フランスの会社法では、
2年以上保有する株主は2倍の議決権があり、
実質、ルノーに大きな発言権がある。
 

しかも、
ルノーは日産の43%の株式を保有し、
3社の代表取締役はカルロス・ゴーン氏である。

反政府デモが頻発し、
支持率が20%の前半で低迷している
エマニュエル・マクロン氏からすると、
3社を統合し、
フランスに世界最大の工場を誘致することこそ、
支持率回復の決め手になる。

そう思ったとしても
不思議ではありません。

 

ですから、
扇の要である
カルロス・ゴーン氏を解任しなかった。
そう思えるのです。

 

「日産とルノーの関係は
 その通りでしょ。
 でもさ、
 どう見ても
 今回のケースは無理筋じゃないの?
 下手したら、
 東京地検は、
 改編を余儀なくされるんじゃないの?」

 

そこで、
東京地検が
在宅起訴ではなく逮捕した、
その自信の理由です。

 
ここからも、
私の独断と独善で分析します。
逮捕の核心は、
『所得税法違反と特別背任』
です。

 
「特別背任って、
 あれでしょ。
 働いていない姉ちゃんに
 報酬払ったとか、
 母ちゃんに無料で豪邸に住まわせたとか
 家族旅行代金を日産にとか

 でもさ、
 儲けられるようにしたのはさ、
 カルロスでしょ。

 確か、
 利益ゼロから
 年間利益7500億円だっけ?

 わずかなもんじゃない。
 目くじら立てるほどのものじゃないじゃない。
 ちがう?」

 

 確かに、
 比較から申し上げれば、
 アメリカのビッグ3と呼ばれる
 自動車会社の経営者の報酬や
 福利厚生そして、
 退任後の継続した報酬確約から
 見れば、
 そうかもしれません。

 
 ならば、
 なぜ、
 事実のまま記載しなかったのか?

 

「そりゃ、
 日本だからでしょ。
 あんまり多く貰うと
 バツが悪いちゅうか、
 日本のマスコミにやり玉に挙げられるかもしれんし、
 あることないこと書かれるだろうし、
 日産の評判をおとしたくなかったんじゃないの?」

 

すでに、
年収10億ですから、
それが2倍になったからと言って、
左程の影響はあり得ないでしょう。

 

「だったら何?
 所得税法なの?」

 

正解!
私の推理によると
それが核心です。

と、
申しますのも

昨年から
日本の税務当局も
租税情報について
EUやアメリカと
やり取りを自由に行っています。
 

なぜ、
そうした取り組みが必要になったのかと言えば、
富裕層の税務逃れが
見逃せなくなるレベルで行われていたからです。
 

例えば、
フランスの納税義務は
1年の内183日、
フランス国内にいる人物を対象としています。
居住地主義、属地主義です。

アメリカの納税義務は、
アメリカ国籍を持っていること。
アメリカの永住権をもっていること、
ワーキングビザで90日以上いること。
属人主義です。
 

では、
日本はどうかと言えば、
「居住実態に即して総合的に判断する」
と、されています。

・主たる活動拠点があること
・主たる住居があること 

以上で、納税義務が生じます。
 
 
◎ゴーンの退任後の報酬約束を有価証券報告書に未記載だった理由は、
表面上の報酬額はルノーよりも少なく見せたかった。
 

→ ルノーが主たる報酬であるので、日本が主たる活動実績国ではない!
 

と、主張できる。

◎ゴーン氏の日本の居住地やホテル滞在費用は、
日産が購入した住居に無料で住み、ホテル費用は日産の支払い。
ゴーン氏はビタ一文だしていない。

→ 本人が支払っていないので、主たる住居ではない。

結果として、
ゴーン氏は税務当局に短期滞在者として、
認識され、
納税義務者ではなかった……

 

つまり、日本で1円も税金を納めていなかったのではないか?
と、考えます。
 

あれほどの巨額の報酬を得ながら、
フランスでは
滞在日数が183日以下だから
納税義務はない。

日本では
短期滞在者であるから
納税義務はない。
 

結果として、
巨額の報酬を得ている日本でもフランスでも
所得税と住民税はゼロではなかったのか?

 

私は
こうした考えられない納税実態により、
国税局はフランスにも問い合わせ(税務情報の自動交換条約により)
酷い状況から、東京地検に報告を入れ、
日産に協力を持ち掛け、
証拠を固めた上で、
ビジネスジェットで
羽田に到着した瞬間を逃さず、
逮捕に踏み切ったのではないか。
そう思えるのです。
 

東京地検もバカではありません。
カリスマ経営者を逮捕して、
無罪となれば、
どんな顛末が待っているのか、
彼らなりに理解している。

にもかかわらず、
白昼堂々、
公衆の面前で逮捕した。
その事実から、
動かしようのない犯行を確認しているのではないか。
そう思えるのです。
 

一昔前は、
税務情報は各国の秘匿情報の一つでしたから、
壁が存在していました。
ところが、
税務情報の自動交換条約が施行され、
租税情報のやり取りで
フランスにも日本にも税金を納めなかった。
 

おそらく、
ベイルートにわずかな税金を納めて、
租税回避をしていたのではないか。
そう、
推測します。

 

「えっ!
 そうなの?」

 

事実から導きだした推測ですから、
確定したわけではありません。
しかしながら、
上記の可能性は非常に高いと考えます。

 

「カルロス、
 どうなっちゃうの?」

 

主たる収益の取得源が日本と認定されると、
どうなるのか?

 

所得総額の約50%の税金
特別重加算税35%
追徴税   14.6%
合計で   99.6%
 

しかも、
日産から損害賠償、
追い打ちをかけて、
一般株主からの損害賠償
がカルロス・ゴーン氏に
襲い掛かる可能性もあるのです。
 

こうした状況は、
国税当局が
取り締まりを確実にしている今年の
9月末から
各国の税務当局が
金融資産や不動産情報を
隠すことなく
情報を交換するようになりました。
 

こうした状況の元に
念には念を入れて、
再検証し、
実行されたのが、
羽田空港のプライベートジェット機内での
今回の逮捕劇です。

覆る可能性は、 
殆どない。
そう申し上げても過言ではない。
と、思えるのです。

 

「こえぇええ。
 でもさ、
 カルロスは
 なんでああなっちゃったんだろ?」

 

 ”税金なんて、1円だってを支払いたくない”
 

この一念では?
そう思えます。
 

行き過ぎる節税は
時として脱税につながります。

 

大家さんも
肝に銘ずるべき
出来事だったのではないでしょうか。

 

以上、略儀ながらカルロス氏に捧ぐ。

 

    藤 山 勇 司

 

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株式相場波乱の予兆・中国潰しとドイツの苦境

 
私は見た目と違い
臆病な性格を内包しているせいか、

危機に人一倍、敏感です。
 

 
「ふ~ん、で、何かあったの?」

 

ここ最近の株式の足踏み相場は
”通常の足場固め”
ではなく、

リーマンショック以上の
大波乱が起こる

”予兆”ではないかと危惧しています。

 

「んな、バカな。
 

 アメリカの中間選挙もさ、
 共和党が上院で勝利したおかげで、
 下院から

 弾劾裁判されても、
 上院が否決できるし。
 

 外交案件は上院マターだから、
 いいんじゃないの?
 

 それに、
 何か問題があれば、
 トランプさんは

 ”下院の民主党が反対するからだ”

 って、
 大上段から批判すればいいんだし、

 2年後の大統領選挙でも
 当選するでしょ。

 多少の株式の下落はさ、いつもあることだし、

 心配のしすぎでしょ」

 

で、あればいいのですが、
ことは、そう単純ではありません。

 

「何が問題なの?」

 

アメリカは腹を決めて、
中国と対決することを固めたからです。

 

「そんなの前からでしょ……
 今にはじまったことじゃなし、

 5月か6月だっけ?
 中国に強硬に迫り始めたの。

 あれから半年近く経ってるけど、
 アメリカ絶好調じゃない?

 貿易協議もさ次々に
 自分の思い通りに進めてるし、

 失業率も過去最低だっけ?

 株式相場が下落する要因はないでしょ。

 

 中国ともそろそろ
 落としどころを見つけるんじゃないの?

 北朝鮮問題もあるんだしさ」
 

 

 
そうした見方が
主流であることは存じています。

アメリカも中国も どちらも大国であり、
深刻な対立は望んでいない。

いずれ、
両国のメンツを立てた

和解案が練られ、
電撃的に発表されるはず……
 

中間選挙までは、対立姿勢を取るが、
その後は事態収拾に向けて歩み寄りを始めるはず……

 

「いやいや、仰る通りでしょ。

 トランプさんはさ、
 望み通りに上院は過半数を維持しても
 州知事選でもさ、
 次のアメリカ大統領選で重要な
 テキサス・フロリダ・オハイオ 
 を共和党が勝利したし。

 中国との対立は潮時でしょ」

 

中国との対立……

日本では”貿易戦争”と
表現していますが、

その本質は、
”覇権戦争”です。

 

「ウソ、そりゃ、大げさだよ」

 

10月4日の
保守系シンクタンクである
ハドソン研究所において、なされた

ペンス副大統領の演説……

これを素直に読めば、
真正面からの中華人民共和国に対する
”宣戦布告” です。

簡略化すると

・中国はアメリカに不等に介入している

・WTOに参加させたが、自由を尊重するどころか
 抑圧を強めている。

・知的財産権の収奪を実行している。

・南シナ海を軍事拠点化している。

・中国は監視カメラにより全国民が監視下にある。

・宗教の自由はなく、あらゆる信者が迫害されている。

・他国に高利で金を貸し付け、港湾の使用権を
 奪い取っている。

・台湾の民主主義を毀損しようとしている。

・中国国内の外資系企業に共産党委員会の設置と求め、
 技術の譲渡を強要している

 

そして、

最後の最後に
『大統領は引き下がらない!アメリカ国民は惑わされない』
と、締めくくりました。

 

私が想像するに、
この発言を受けて、
最も震え上がったのはドイツです。

 

「ど、どいつって、どこの、どいつ?

 まさか、メルケルさんのドイツ?」

 

そう、
 人口8270万人
 国内総生産410兆円

フォルクスワーゲンやベンツにアウディなど
で有名な、

あのドイツです。

 

「え、

 関係ないでしょ」

 

大ありです。

VW(フォルクスワーゲン)
はグループ会社でして、
ベンツやアウディなどの親会社ですが、
彼らの2017年の総販売台数世界1位

1074万1500台の内
中国 418万4200台
EU 432万8500台

グループの総従業員は62万人です。

 

つまり、

VWグループの約4割は
中国で販売されているのです。
 

しかもアメリカは、
ドイツが中国を裏で
支えていることを知っている。

技術、資金、経営のノウハウも含めて、
ドイツ銀行が仲介役となり、

深く結びついていることを熟知している。
 

中国の覇権意図を
抑えるには、ドイツを締め上げる必要がある。

このことを

・ドイツ銀行
・VW
・メルケル首相

の主要3者は思い知ったことでしょう。
 

「そうかもしれんけど、中国の経済も
 左程悪くないでしょ。違うの?」

8月から
新車の販売台数が
前年割れとなりました。
 

VWの販売台数は約11%減少。
今後の販売も思わしくありません。

 

「確かに
 そうかもしれんけどさ、
 クルマだけの問題でしょ。

 ドイツは他にも
 工作機械とか、いろいろあんだし」
 

ドイツはEUの中心的国家ですが、
本質を調査すると、

左程、威張れるほどの内容で
ないことがわかります。

その問題の核心は、ドイツ銀行です。
 

 
「ドイツ銀行?

 あ~あ、2年前だか3年前に話題になったね。

 でもさ、あれから
 何も起こってないじゃん。

 なんとかなったんじゃないの?」

 

何も良くなっていません。 むしろ悪化している。

しかも、
アメリカが中国に仕掛けた
貿易戦争(実態は覇権戦争)により、

火の粉が
隣家のドイツに飛び火して
小火から大火事に拡大しています。

 

しかも
それを笑いながら、
ガソリンをぶっかけているのが
投資ファンドの

ジョージ・ソロスグループです。

彼らは今年初めから
カラ売りをはじめましたが、
想像を絶する莫大な利益を上げています。

なにせ、
ドイツ銀行の株価は
2017年12月16.54ユーロ 
→ 11月13日8.82ユーロ
ですから、

黙っていても、
儲かる仕組みになっているのです。

 

「ま、そうにしても
 たかが一つの銀行でしょ。
 どうなろうと、大したことじゃないよ」

 

そうは問屋が卸さない。

ドイツ銀行が保有する
デリバリーやCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)
の総額は7900兆円です。

ドイツ一国のGDPが410兆円ですから、
19.27倍……

その中でも理解されやすいのは
ギリシャ国債のCDSでしょう。
 

 

「CDSって、何?」

 

ある債権が支払われない時に、
CDSを購入しておけば、
発行元が元本を保証するという金融工学に
基づいた金融資産です。
 

具体的に申し上げますと、
1億円の債権があったとします。

債権は国債でも社債でも構いません。

満期が5年として
CDSの手数料が年間1%だとすると、
5年分の5%を払えば、
元本が保証されるという仕組みです。
 

仮に国際や社債の利回りが年率2%であれば、
その中から1%のCDS手数料を支払えば
リスクがなくなり、純益1%が残る(2%-1%)。

また、発行元からすると、
国債や社債の発行主が破産や倒産しなければ、
手数料の1%は丸儲けとなる。

 

これがCDSの簡単な仕組みなのですが、
ギリシャ国債のCDSを販売しているのがドイツ銀行です。

発行総額は50兆円以上!
 

つまり、
ギリシャが潰れると、
ドイツの1民間銀行である、

ドイツ銀行が全て被ることになるのです。

 

しかも、

ドイツ銀行は

・フォルクスワーゲンのメインバンクであり、

・メルケル首相のCDU(キリスト教民主同盟)の最大の支援企業

ですから、
ことは1民間企業と片付けることはできません。

「ドイツ銀行って、 利益は幾らぐらいあるの?」

3年連続赤字です。
 

しかも通常の企業で言う、

売上高は、
金利収益と非金利収益の合計金額になりますが、
僅かに、300億ユーロ前後。

全て、利益だと仮定しても
3兆3000億円程度です。
 

破綻状態と言っても過言ではない。

その民間銀行である
ドイツ銀行は、
中国にも巨額な融資を行っており、
アメリカと覇権戦争状態にある中国事情は
完全にデッドロックです。

 

「だ、だめじゃん。どうなるの?」
 

しかも、

ドイツ銀行のCDSは
他の金融機関も保有しており、
ドイツ銀行が潰れると、
ある専門家の見方によれば、

少なくとも

300兆円、
場合によっては
1000兆円のお金が雲散霧消してしまう……
 
 
ちなみに、

リーマンショックの際に消えてなくなったお金は80兆円です。
 

お判りでしょうか?

以上が世界規模の経済状況です。

電子マネーが駆け巡る経済は波乱含み。
割れぬように薄氷をそろそろと進むことしかできません。
 

ところが、
傍若無人にあたりかまわず
突進してくる

トランプ少年の勝ち誇った笑い声が

丘の向こうから聞こえてきます。
 

果たして、これから先どうなるのか?
 

もしも、
不安を覚えるならば、
株式など電子マネー債権を
一度手じまいすることも
選択肢の一つだと考えます。

 

以上、略儀ながら

平成30年最後の冬を迎えて

 

    藤 山 勇 司

 

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